この回は、この講座でいちばん重い回です。
だから最初に、この回の方針を宣言しておきます。
感傷では語りません。
断罪でも語りません。
「なぜ止められなかったのか」という問いを、意思決定の失敗の分析として追いかけます。
昭和の戦争は、誰か一人の悪人が引き起こしたものではありませんでした。
むしろ関係者の多くが「まずい方向に進んでいる」と分かっていながら、誰も全体を止められなかった。
その構造を理解することは、過去への義務であると同時に、組織で働くすべての現代人にとって、実用の知でもあると思うんです。
転落の背景には、経済の崩壊がありました。
1929年の世界恐慌は、日本を直撃します。
折悪しく緊縮政策と重なって昭和恐慌となり、都市には失業者があふれました。
とりわけ深刻だったのが農村です。
生糸のアメリカ向け輸出が崩壊し、繭の価格が暴落。
1931年と34年の東北の凶作は、娘の身売りや欠食児童という言葉を新聞の見出しにしました。