二度の冬のあと、流れを変えた年があります。
2012年です。
画像認識の世界的なコンテストで、あるチームが他を圧倒しました。
使ったのは、深層学習と呼ばれる方法でした。
深層学習の土台は、ニューラルネットワークという計算方式です。
脳の神経細胞のつながりを、ゆるく真似ています。
単純な計算をする部品を何層にも重ねる、層が深いから「深層」学習です。
アイデア自体は、何十年も前からありました。
冬の時代にも、少数の研究者が信じて続けていました。
それでも花開かなかったのは、二つ足りなかったからです。
学習に使う大量のデータと、計算する機械の力です。
2000年代、インターネットが世界中の画像と文章を集めました。
ゲーム用の画像処理装置が、計算の力を一気に安くしました。
データと計算力がそろったとき、古いアイデアが最強の方法に化けたのです。