世界の始まりの物語を、まず足元の日本から読みます。
古事記の冒頭。
天と地が分かれたばかりの世界に、神々が次々と現れては消えていきます。
そして七代目に登場するのが、イザナギとイザナミの男女二柱。
天の神々に「この漂える国を固めよ」と命じられ、矛で海をかき回します。
矛先から滴った塩が積もって島になる。
オノゴロ島です。
二柱はその島に降り、柱を立て、結婚します。
日本列島は、このあと二人が産んだものです。
ここ、さらっと流してはいけないポイントです。
世界の神話には、世界を「作る」創世と「産む」創世があります。
日本は産む型。
国土が工作物ではなく、生き物として生まれてくる。
日本人がなんとなく持っている「自然は征服する対象ではない」という感覚の、いちばん古い源流がここにあります。
ところが、です。
柱を回って出会い、最初に生まれた子は、骨のないヒルコでした。
二柱はこの子を葦の舟に乗せて流してしまいます。
次のアワ島も「子の数に入れず」。
なぜ失敗したのか。
天の神々に占ってもらうと、理由はこうでした。
出会いのとき、女であるイザナミから先に声をかけたのがよくなかった。
やり直して、今度はイザナギから声をかけると、淡路島を皮切りに大八島——日本列島が次々と生まれます。