出雲神話の主役、オオクニヌシの登場です。
この神の物語は、日本神話の中でもとりわけ「小説的」で、そして最後がいちばん謎めいています。
若き日のオオクニヌシは、大勢の意地悪な兄たちの、荷物持ちでした。
兄たちが美人の噂高いヤガミヒメに求婚しに行く道中、皮を剥がれて泣くウサギに出会います。
兄たちはウサギに「海水を浴びて風に当たれ」と嘘を教え、苦しみを倍にした。
遅れて来たオオクニヌシは、真水で洗い蒲の穂にくるまれと教えて治してやる。
有名な因幡の白兎です。
ウサギは予言します。
ヒメが選ぶのは、あなただと。
予言は当たり、嫉妬した兄たちはオオクニヌシを二度も謀殺します。
焼けた岩を抱かされて死に、木に挟まれて死に、そのたびに母なる神々の力で蘇る。
ついに根の国のスサノオのもとへ逃げ込み、そこでスサノオの娘スセリビメと恋に落ち、蛇の室や鼠の助けを借りて舅の試練を突破。
妻と宝物を奪って地上へ帰り、兄たちを平らげて、小さな神スクナビコナと組んで国を作り上げます。
医療とまじないの法を定め、葦原中国と呼ばれる地上世界の王になりました。
いじめられた末っ子が、死と再生を経て王になる。
第20回でやる「英雄の旅」の教科書のような筋書きです。
ところが物語は、意外な方向へ曲がります。
高天原のアマテラスが、地上はわが子孫が治めるべき国だと宣言するのです。
交渉の使者が次々に送られ、最後に武神タケミカヅチが浜に剣を逆さに突き立てて迫ります。
国を譲るか、否か。