第3部は世界の神々めぐりです。
初回はギリシャ、オリュンポス山の十二神。
第3回で見たとおり、ゼウスは父クロノスを倒して神々の王になりました。
雷霆を握る全宇宙の支配者です。
ところがこの最高神、行状がひどい。
人妻だろうが女神だろうが見境なく恋をしかけ、白鳥に化け、黄金の雨に化けて口説きに行く。
妻ヘラの嫉妬は凄まじく、夫ではなく相手の女性やその子を執拗に迫害する。
英雄ヘラクレスの生涯の苦難は、ほぼ全部ヘラの嫉妬が原因です。
ほかの神々も負けていません。
海のポセイドンは怒りっぽく、戦のアレスは強いくせに負けて泣いて帰る。
知恵のアテナと海のポセイドンは都市の守護神の座を競い、美の女神たちは「いちばん美しいのは誰か」で争って、その怨恨がトロイア戦争の引き金になりました。
ホメロスの『イリアス』では、神々が人間の戦争に平気で介入し、それぞれ贔屓のチームを応援して、神同士で殴り合いまで始めます。
全知全能の神に慣れた目には、冗談のような光景です。
でもギリシャ人は大真面目でした。
なぜ彼らは、神をわざわざ人間くさく作ったのか。
ヒントは、ギリシャの神と人間の違いがたったひとつしかないことです。
神々は不死で、人間は死ぬ。
それだけ。
欲望も嫉妬も虚栄心も、神と人間は同じものを持っています。