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なぜ人は、神を語ったのか 第18回

ヤマトタケル — 日本最古の悲劇の英雄

第4部 英雄の旅

第4部のテーマは英雄です。
神々の物語のなかで、人間(あるいは半分人間)の主人公が怪物を倒し、旅をする物語群。
まずは日本代表、ヤマトタケルから読みます。

古事記によれば、もとの名はオウス。
景行天皇の皇子です。
物語は、ぞっとする場面から始まります。
朝夕の食事に出てこない兄を「ねぎ教え諭せ」と父に命じられたオウスは、後日「もう諭しました」と報告する。
どうやったのかと問われて、平然と答えます。
つかみ潰して、手足をもいで、投げ捨てました

わが子の怪力と苛烈さに、父は恐怖しました。
そして九州の豪族クマソタケル兄弟の討伐を命じます。
体のいい厄介払いです。
オウスはまだ少年でした。

オウスの戦い方は、力押しではありません。
叔母のヤマトヒメ——伊勢神宮に仕える斎王です——から女物の衣装をもらい、少女に変装してクマソタケルの宴に紛れ込みます。
美しい「娘」を気に入った兄弟が油断しきったところを、懐の剣で討つ。

死にゆく弟のクマソタケルは、最後に問います。
あなたは誰か。
皇子が名乗ると、彼は自分の名を差し出しました。
西の国に、われら二人より強い者はいなかった。
あなたこそヤマトタケル(倭建)——大和の勇者と名乗られよ。
敵が、命と引き換えに名前を贈る。
この瞬間から、彼はヤマトタケルになります。
討った者と討たれた者の間に流れる奇妙な敬意は、この物語がただの征服譚ではないことの、最初の合図です。

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