最終第5部のテーマは「神話は生きている」。
その入り口として、今回はこんな問いから始めます。
文字もない時代の物語が、なぜ何千年も消えずに残ったのか。
紙は燃えます。
粘土板は割れ、語り部は死ぬ。
それでも神話は残った。
答えのひとつが、今回の主題です。
神話は「読む」ものではなく、毎年「演じる」ものだった。
物語を保存したのは書物ではなく、儀式でした。
実例はすでに、この講座に何度も登場しています。
第5回のバビロン。
創世叙事詩エヌマ・エリシュは、新年祭のたびに神殿で朗読されました。
マルドゥクが混沌の女神を倒して世界を建てた物語を、年の初めに再演することで、世界の秩序をもう一年ぶん更新する。
第7回の岩戸隠れ。
アメノウズメが岩戸の前で踊ったあの場面は、神楽という芸能の起源と語られ、今も全国の神社の夜神楽で「岩戸開き」が舞われ続けています。
舞台の上で、太陽は毎年隠れ、毎年引き出される。