世界には、ポチも、ハチ公も、隣の家のコロもいます。
どれも「イヌ」です。
では——「イヌ一般」というものは、存在するでしょうか。
ポチでもハチ公でもコロでもない、すべてのイヌをイヌたらしめている「イヌそのもの」。
それは世界のどこかに実在するのか。
それとも、人間が便利のために貼った「ラベル」にすぎないのか。
くだらない言葉遊びに見えますか。
実はこれ、「普遍論争」と呼ばれ、中世ヨーロッパの知識人たちが数百年がかりで戦った大問題です。
そしてこの論争の決着のつけ方が、中世を終わらせ、科学の時代の扉を開きました。
今回は第2部の最終回。
一本の「剃刀」が歴史を切り拓く話です。