タレスが井戸に落ちてから、二千六百年。
孔子が就活に失敗し続けてから、二千五百年。
ぼくたちはずいぶん遠くまで歩いてきました。
最終回でやることは、二つです。
まず、五千年分の旅の「型」を取り出すこと。
そして、道具箱をひっくり返して、AIの時代のいま、どれがどう使えるかの棚卸しをすることです。
先に、ぼくの結論を言っておきます。
哲学は、終わりません。
終わらないどころか、いまが歴史上いちばん、哲学の道具が生活必需品になった時代だと思っています。
42回分を早回しすると、同じ型が何度も現れていたことに気づきます。
誰かが、みんなの「自明」を疑う。
タレスは神話を疑い、ソクラテスは「知っているつもり」を疑い、ブッダは「私」を疑い、デカルトは感覚を疑い、カントは「見えている世界」を疑い、ニーチェは道徳を疑い、フーコーは「普通」を疑った。