4つ目の基本ゲームは、コミットメント。
ゲーム理論のなかで、いちばん直感に反して、いちばん面白い理論だとぼくは思っています。
結論から言います。
自分の選択肢を自分で減らすと、交渉やにらみ合いで強くなることがある。
ふつう、選択肢は多いほど有利なはずです。
逃げ道は多いほうがいい。
ところが相手のいるゲームでは、この常識がひっくり返る場面がある。
それを理論にしたのが、トーマス・シェリングです。
1960年の著書『紛争の戦略』でこの考えを体系化し、2005年にノーベル経済学賞を受賞しました。
前回までのチキンゲームで考えます。
正面から突っ込み合う2台の車。
「絶対に退かない」と信じさせた側が勝つのでした。
では、どうすれば信じてもらえるのか。
口で「退かないぞ」と叫んでも無駄です。
衝突の寸前になれば避けるのが合理的だと、相手も知っているからです。
脅しに信憑性がない。