第4部の締めは、値決めです。
価格というものを、ゲームの設計者の目で見直します。
メカニズムデザインの花形といえば、オークション理論です。
周波数の割り当てから広告枠まで、現代の巨大市場の多くはオークションで動いています。
オークション設計の研究者ミルグロムとウィルソンは、2020年のノーベル経済学賞を受賞しました。
オークションの本質は、こう言えます。
売り手が値段を決めるのをやめて、買い手同士のゲームに値段を決めさせる仕組み。
売り手には、買い手が本当はいくら払えるか見えません(第13回でやった情報の非対称性です)。
そこで、買い手同士を競わせるルールを敷く。
競り上げ式なら、参加者は「自分の上限までは降りない」ゲームを戦い、最後に残った2人のせめぎ合いが、市場の本音の値段を炙り出します。
設計者は値段を当てる必要がない。
ルールが価格発見の仕事をしてくれるわけです。
ぼくの商売でこれに一番近いのは、二次流通市場です。
CNPのNFTには、売買のたびに約10%が運営に入るロイヤリティという仕組みを設計しました。
限定30体の企画が3〜5分で完売し、その日の二次流通が約430万円動いたこともあります。
運営が一つひとつ値付けしたわけではありません。
ファン同士の競り合いが価格を作り、流通が生まれるたびに設計者に収益が入る。
売り切りではなく、市場そのものを設計した形です。