任天堂は1889年、京都で創業した花札の会社です。
トランプ、おもちゃ、と手を広げながら約100年。
その老舗が1983年7月に発売した家庭用ゲーム機が、ファミリーコンピュータ、通称ファミコンでした。
アメリカでゲーム市場が崩壊していた、まさにその年です。
ファミコンの設計思想は明快でした。
当時の社長・山内溥の求めたことは、要するに「他社が真似できない価格で、アーケード級のゲームが動く機械」です。
発売価格は14,800円。
競合機より大幅に安く、それでいて『ドンキーコング』がゲームセンターに近い形で動いた。
この価格性能比は、部品の大量発注や専用チップの設計など、コストへの執念で実現されています。
子どものおもちゃは価格が生命線だと知り尽くした、玩具屋の勘どころでした。
そしてもうひとつ、地味に偉大な発明が、本体に2つ付いたコントローラの十字キーです。
携帯ゲーム機ゲーム&ウォッチで生まれたこの入力装置は、上下左右をひとつの親指で押し分けられる。
以後40年、ゲームコントローラの標準装備であり続けています。