3Dでゲームが作れるようになったとき、開発者たちは途方に暮れました。
大げさではありません。
2Dのゲームには20年かけて磨かれた文法がありました。
右がゴール、上がジャンプ。
しかし3D空間には前後左右も上下もあり、しかもプレイヤーはどこを見ているかすら定まらない。
キャラクターをどう動かし、カメラをどこに置くのか。
誰も答えを持っていなかったのです。
その答案を最初に、しかもほぼ満点で提出したのが任天堂でした。
1996年、NINTENDO64と同時発売の『スーパーマリオ64』。
このゲームの発明は、コントローラから始まっています。
N64のコントローラ中央には、アナログスティックが付いていました。
傾ける角度で、忍び足から全力疾走まで無段階に変わる。
デジタルの十字キーでは不可能だった「移動の強弱」が、親指一本に宿ったのです。
マリオは広い箱庭を、歩き、走り、三段跳びし、壁を蹴って舞う。
3D空間を移動すること自体が快感になるよう、動きの一つひとつが調律されていました。